ルコック・システム入門
 マイム、仮面、パペット(人形)、アクロバット・・・表現のあらゆる可能性を追求し、それを実際の舞台へ応用するための身体訓練法、それがルコック・システムです。テアトル・デ・コンプリシテの独特な身体表現や、ミュージカル『ライオンキング(ジュリー・テイモア演出)』が試みたパペットと役者のダイナミックな融合など、ルコック・システムの独創的なアプローチは、現在も欧米演劇の最前線で様々な展開を見せています。
 このワークショップでは、これからフィジカルシアターを学ぼうという方に向けて、ルコック・システムを実際に欧米で学んだ講師陣が、そのカリキュラムのエッセンスを紹介します。なかなか日本では触れることのできないルコック・システム・・・3日間限定の「体験バージョン」で、ぜひその素晴らしい世界を覗いてみてください。

日程: 2004年9月18日(土)・19日(日)・20日(月祝)
午後クラス(全3回:18日〜20日 14:00→17:00)
夜間クラス(全3回:18日〜20日 18:00→21:00)
 
会場: 青山劇場 Bリハーサル室

 
講師:

猪俣 哲史(いのまた さとし)
演出家/俳優。フィジカルシアター・フォーラム主宰。英国舞台映画格闘術アカデミー正会員
1996年 多摩美術大学芸術学部(上野毛校)卒業。
1999年 俳優塾、舞台芸術学院 卒業。翌年よりイギリスで舞台演出を学ぶ。(ロンドン大学Goldsmiths College、School of Physical Theatre等) 

 
野崎 夏世(のざき かよ)
俳優。フィジカルシアター・フォーラム実行委員
1999年 横浜国立大学教育学部卒業。  
劇団トラブ6を結成。俳優、演出を担当。
2001年 渡仏。ジャック・ルコック国際演劇学校へ入学。
2003年 ジャック・ルコック国際演劇学校、卒業。

 
特別講師:

上ノ空はなび  

 
講師助手: 内空閑 裕介、飯島 孝子


 
<カリキュラムの全体像>  
 

* 詳細は以下を参照:
『ルコック・システム −身体の「モジュール化」に向けて−』
シアターアーツ(第二次)2004年 夏号・秋号所収 晩成書房

 
ニュートラル・マスク  
 ニュートラル・マスクは、感情や性格というものを一切その造形に持たない仮面です。ワークショップ参加者はその仮面を着けて、ある与えられた状況(真っ暗闇、深い霧、原生林… など)の中を動きます。ただし、「演技」をしないこと。仮面を通して見えたもの、感じられたことのみに対し、まるで無垢な子供のように、鋭敏な好奇心をもって反応することが大切です。


 
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物質への同一化
 
私たちの身の周りには、演技の参考となるモノが数多く存在しています。それらモノの動きや性質をよく観察し、自分の体の中に取り込んでしまおうというのがこのエチュードです。角砂糖が水に溶ける様子、ビニール袋が引き裂かれる様子、落とした卵がはじけ散る様子… 将来、このようなモノのイメージや動きが、何かを演じるときにきっと役に立つはずです。


 
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動物への同一化
 
人の性格を描写するのに、動物のイメージってとても説得力ありますよね。「サルっぽい男」「ヘビのようなヤツ」「ネコ的な女」云々と…。どうせなら動物の動きを徹底的に真似て、キャラ作りの幅を広げてみましょう。


 
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キャラクター・マスク  
  ニュートラル・マスクとは対照的に、キャラクター・マスクは「性格=キャラクター」というものを極端に押し出した造形を持つ仮面です。この仮面を被ることで、参加者はそのキャラクターに特徴的な身構えや身振りというものを探っていきます。


 
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マイム  
  「マイム」というと、どうしても「見えない壁」や「綱引き」などの無対象演技を想像しますが、ここではその言葉の意味をもう少し広くとらえ、身振りと感情表現の関係について考えてみます。たとえば、「振り向く」という行為一つをとっても、そのスピード、リズム、タイミングなどによって、相手に伝わるイメージは様々です。このエチュードでは、特に「呼吸」と「身構え」に焦点をあてて、感情表現の秘密を探ります。


 
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ステージ・コンバット  
  『グラディエイター』や『キングダム・オブ・ヘブン』の剣士・騎士たちが見せる華麗な剣技の数々…自分もあんなカッコいい動きができたらなぁと思ったことはありませんか? ステージ・コンバットでは西洋の殺陣の技術を習得します。とはいえ、西洋刀剣の使い方を学んだところで、日本では余り使い道がありませんので、エチュードでは「素手での格闘(unarmed combat)」を学びます。「いかにリアルに、しかし安全に!」がステージ・コンバットのモットーです。


 
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オブジェ  
  人間の想像力に限界はありません。しかし悲しいかな、その力は年齢を経るに従って衰えていきます。それは私たちが、日々、どんどん「常識」という枠に囚われていくからです。オブジェのエチュードでは、私たちが日常的に接している様々なモノを使います。本、ヤカン、クツ、電気コード… ここで、私たちがそれらのモノに対して普段抱いている「常識」を、いったん取り払ってみましょう。ヤカンをヤカンとして考えず、単なる「物体」として見たとき、それが何か別のモノとして立ち現れてきませんか?


 
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オート・クール  
  ワークショップの最後を飾るのが、参加者たちによる自主公演、「オート・クール」です。約5名ずつでグループを組み、与えられた課題に対して、10分程度の寸劇を創ります。喧々囂々、遠慮はいりません。エチュードで学んだことをどんどん使い、思いっきり遊んでしまいましょう!



 
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  <参加者の声>  
  今回のワークショップはとても有意義でした。新鮮な環境の中で初めて触れるルコック・システムの可能性というか、身体表現の可能性、人間の持つ想像力の素晴らしさを感じられて、とても嬉しく思います。また、ここで出会った人々とのコミュニケーションの輪を大事にして行きたいと思います。本当にありがとうございました!要望としては一つ一つのカリキュラムをもう少し時間をかけてやってみたかった、と言う感じです。とりあえず来年の公演を心待ちにしていますので、頑張ってください!

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先日はルコック・システムWSで大変お世話になりました。以前から興味のあったルコック・システムというものを、始めてきちんと知るとても良い機会になりました。 演劇を学ぶって、すごくその演出家の好み、とかになってしまいがちな印象があるんですけど、自然の現象や動物などから観察し、それを演技に取り入れていくという考え方は、なんというか普遍的な訓練方法なのだろうなと思いました。わたしはダンスの振付をしているので、その考え方はとってもヒントになりました。3日間でいろいろなセッションがありましたが、そのひとつひとつをもっとじっくり取り組める機会がまたあったらいいなと思います。お疲れ様でした。ありがとうございました。

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3日間ありがとうございました。自分の今後の役者としての方向性を探る上で非常にためになるワークショップでした。
今回はルコック・システム入門ということだったので色んなことを教わりましたが、次回からは例えば、3日間マスクだけとか、ステージコンバットだけとかいう風にクラス分けをして頂けたらと思います。1日だけではもったいない気がしました。
大変楽しい3日間を過ごさせて頂きました。講師と生徒という関係を越えてお話させて頂き大変嬉しかったです。3日間本当にありがとうございました。また皆さんとお会いできる日を楽しみにしております。

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先日のワークショップではお世話になりましてありがとうございました。わたしはあいにく2日間のみの参加でしたが、とても新鮮で楽しませていただきました。特に、1日目のマスクは新しい体験で、また機会があったらやってみたいと思います。マスク自体も、そしてマスクを使った演技というのも奥が深いな、ということを実感しました。
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とにかく楽しかったというのが、率直な感想です。もっとこうしてほしいということよりも、今やっていることをもっと濃くしていったり、バリエーションを増やしたりとかするとよいのではと思います。

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丁寧なご指導ありがとうございました。濃い三日間でした。これからは、ニュートラルな気持ちと体で、表現する自分をつくっていきたいと思います。想像力と集中力のトレーニングになりました。子供と遊ぶ時にも、ダンスやバンドの中でもルコック・システムの教えを活かしていきたいと思います。これからもご活躍期待してます。
ありがとうございました!

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お疲れ様です!三日間のワークショップ、本当に有意義なものでした!行ってよかったの一言に尽きます。期待どおり、というか、かゆい所に手が届くというか、そんな感じで、個人的には二日目が一番興奮しました。しかし、もちろんまだまだやりたりない!感が残っているのでまた参加したいです。フィジカルシアターの皆様も素敵でよかったです!
そんなこんなで三日間ありがとうございました☆これからもよろしくお願いします!